私は以前、「頑張れば報われる」と信じていました。
競技に打ち込んでいた頃は、目標を決め、自分に何が必要なのかを考え、練習を積み重ねていくことが当たり前でした。努力を続ければ、いつか目標に届く。そんな気持ちで競技に向き合ってきました。
でも、人生には、自分がどれだけ頑張っても思いどおりにならないことがあります。
オリンピックで金メダルを取れなかったこと。ボートレーサーの試験に合格できなかったこと。そして、結婚生活を通して、人の気持ちは自分の努力だけではどうにもならないと知ったこと。
こうした経験を経て、私の考え方は少しずつ変わっていきました。
今は、将来のために行動することと同じくらい、今、自分が幸せかどうかを大切にしています。
オリンピックに3回出場しても、金メダルは取れませんでした
競技生活では、自分なりに誠実に競技と向き合ってきたという自負があります。
練習メニューを自分で考え、それを実行する。調子がいい日も悪い日も、決めたことにまっすぐ向き合う。世界のトップ選手たちと一緒に練習する中でも、私はそうした姿勢を大切にしてきました。
一緒に練習していると、その日の気分によって練習を切り上げる選手もいました。もちろん、選手によって考え方や練習への向き合い方は違います。その中で私は、自分で決めたことを着実に積み重ねることを大切にしていました。
オリンピックには3回出場しました。
金メダルを取ることが、競技を続ける中での大きな夢でした。そのために、自分にできることを考え、練習を重ねてきました。
もちろん、自分のやり方がすべて正しかったと言いたいわけではありません。それでも、競技への向き合い方については、自分なりにやり切ったと思っています。
そして、あるところまで来たとき、もう自分にできることはない、やることはやり尽くしたと感じました。
それでも、金メダルを取るという夢は叶いませんでした。
これ以上やることがないと思えるまで競技に向き合ったからこそ、引退を決意できたのだと思います。
もし金メダルを取れなかった理由を、努力が足りなかったからだと考えていたら、私はいつまでも競技をやめられなかったかもしれません。
でも、そうは思いませんでした。自分ができることをやり尽くしても、望んだ結果が得られるとは限らない。競技生活を通して、そのことを身をもって知りました。
競技生活を終えた後、どのように次のキャリアへ進んできたのかについては、こちらの記事でも書いています。
元オリンピアンのセカンドキャリア|引退後の仕事・転職・資格について
ボートレーサーの試験でも、合格できませんでした
競技を引退した後、私はボートレーサーを目指して試験を受けたことがあります。
試験期間中には、筆記試験や心理試験、反応試験、面接、体力試験など、さまざまな試験が行われました。
個々の試験について、自分では結果が悪かったとは感じていませんでした。それでも、合格することはできませんでした。
もちろん、不合格の本当の理由は分かりません。
当時の私は27歳で、身長も167cmありました。ボートレーサーという競技の特性を考えると、年齢や体重などが選考に影響した可能性はあるのかもしれません。体重については、試験で求められる基準に合わせて減量していましたが、将来にわたって競技を続けることまで考えると、別の評価があった可能性も考えました。
ただ、これはあくまで私自身の推測です。
試験に合格できなかった理由が分からないからといって、特定の理由があったと断定することはできません。
それでも、自分なりに準備をして試験に臨み、結果も決して悪くなかったと感じていたのに、合格には届きませんでした。
オリンピックの経験とはまた違う形で、自分がやるべきことをやったとしても、最終的な結果まで自分で決められるわけではないと感じた出来事でした。
人の気持ちは、自分の努力では変えられません
もう一つ、私の考え方を大きく変えたのが結婚生活でした。
詳しいことを書くつもりはありませんが、この経験を通して、人との関係は自分が頑張るだけではどうにもならないのだと知りました。
自分がどれだけ相手のことを考えても、どれだけ関係をよくしようとしても、相手には相手の気持ちや考えがあります。
自分の努力で変えられることと、そうではないことがあるのです。
競技では、自分の技術や練習への向き合い方を見直すことができます。うまくいかなければ、原因を考えて、練習方法を変えることもできます。
でも、人の気持ちは、自分が正しいと思う方法を実行したからといって、そのとおりに動くわけではありません。
そして、離婚を経験したことで、将来のために計画を立てても、そのとおりに人生が進むとは限らないということも実感しました。
それまで思い描いていた未来が、いつまでも同じ形で続くとは限りません。
だからこそ、今の私は、将来の計画だけを幸せの基準にしないようになりました。
今は「将来うまくいくか」だけでなく、「今、幸せか」を大切にしています
将来のために何かをすることは、今でも大切だと思っています。
税理士試験に挑戦しているのは、資格を取って将来の選択肢を増やしたいからです。副業に取り組んでいるのも、自分がこれまで身につけてきた技術や経験を、もっと多くの人に知ってもらいたいからです。
どちらも、未来につながる行動です。
ただ、今の私にとって、それらは将来のためだけにやっていることではありません。
税理士試験の勉強は、毎日が楽しくて仕方ないというわけではありません。覚えなければいけないことも多いですし、思うように進まない日もあります。
それでも、未来のために自分から行動できていることに、私は幸せを感じています。
副業も同じです。自分が長年取り組んできた競技の技術や経験を、次の人に伝えていく活動ができる。それは自分にとって意味のあることで、やりがいも感じています。
そして、子どもとの生活にも、毎日幸せを感じています。
もちろん、思いどおりにいかないこともあります。予定が崩れることもありますし、こちらが思ったように進まないこともあります。それでも、一緒に生活する日々の中には、幸せを感じる瞬間がたくさんあります。
未来のために行動できていることも、今の生活そのものも、どちらも大切にしたい。
今は、そんなふうに考えています。
シングルマザーとして新しい生活をつくっていくことになった経緯や、今の生活については、こちらの記事にまとめています。
元オリンピアンの私が会社員、そしてシングルマザーになった理由|人生をREBUILDするまで
子育ても、自分の思いどおりにしようとは思いません
人の気持ちは、自分の努力だけでは変えられません。
この考え方は、今の子育てにもつながっています。
子どもはまだ小さいですが、私とは別の一人の人間です。
親として、こうしてほしい、こうした方がいいと思うことはあります。でも、だからといって、いつも自分の思いどおりに動いてもらおうとするのは違うと思っています。
もちろん、安全や生活のために伝えなければいけないことはあります。それでも、子ども自身の気持ちや意思を尊重することは大切にしたいです。
自分の考えを押しつけるのではなく、子どもが何を感じているのかを見ながら、一緒に生活していく。
まだ子育ての途中ですし、毎日うまくできているわけでもありません。それでも、相手には相手の意思があるということを忘れずにいたいと思っています。
子育てを始めてから、思いどおりにいかないことや、自分の考え方が変わったことについては、こちらの記事でも紹介しています。
将来が思いどおりにならなくても、今の幸せまで失いたくありません
オリンピックで金メダルを取ることはできませんでした。ボートレーサーの試験にも合格できませんでした。結婚生活も、最初に思い描いていた未来とは違う形になりました。
人生には、自分がどれだけ考えて準備しても、そのとおりにならないことがあります。
だからといって、何も目指さずに生きていきたいわけではありません。
今も税理士試験に挑戦していますし、副業にも取り組んでいます。これから先、やってみたいこともあります。
ただ、未来の結果だけを幸せの条件にするのはやめました。
将来のために行動する。でも、将来うまくいくことだけを、今の幸せの条件にはしない。
勉強が思ったように進まない日でも、今できることに取り組めています。副業で自分の経験を伝えられます。子どもと一緒に過ごす時間もあります。
そんな日々にも、ちゃんと幸せがあります。
「頑張れば報われる」と、以前のようには信じていません。
それでも私は、未来のために行動しています。
その過程も含めて、今の自分の人生を楽しんでいきたいと思っています。


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